よく聞く「活性酸素」とはどんなものでしょうか。活性酸素は多量に摂るとなんとなく老化に関係しているイメージがありますよね。活性酸素を除去する方法や、抗酸化成分にはどんなものがあるのか解説します。
呼吸により空気中の酸素の一部は体内に取り込まれると「活性酸素」という物質に変化します。
活性酸素は本来は体にとって必要な物質で、白血球から放出され、その強い殺菌力で体内の細菌やウイルスを撃退する役目をしています。
ところが、活性酸素は過剰に蓄積されると、正常な細胞や遺伝子をも攻撃(酸化させ)するようになってしまうのです。人間はおよそ60兆の細胞で構成されますが、その細胞の外側にある細胞膜は不飽和脂肪酸という油で作られています。不飽和脂肪酸は活性酸 素と結びつくことで酸化して過酸化脂質となり、細胞が老化してしまいます。鉄が酸化してサビるのと同じように、 体内でも活性酸素の影響によって酸化が生じ、体がサビてしまうのです。活性酸素により細胞がさびて行くと、内臓や皮膚、骨などの組織がダメージを受け、老化やガン、生活習慣病などにつながると言われています。
活性酸素の増えすぎを予防するなら、活性酸素と戦ってくれる抗酸化成分の入った化粧品で活性酸素の無害化を目指すことがお勧めです。ビタミンC、コエンザイムQ10、アスタキサンチン、フラーレンなどが有名ですね。特徴をまとめてみました。
ビタミンC (L-アスコルビン酸) |
美白に作用する成分として有名ですが、実は抗酸化作用、コラーゲン生成作用など、美白作用以外にも様々な作用があります。 乾燥や紫外線により活性酸素が発生すると、細胞が酸化する原因となりますが、ビタミンCは、細胞の代わりとなり自らが活性酸素に酸化され、細胞を守ります。安全性も高いので、日々のお手入れでビタミンC入り化粧品を使うのもお勧めです。 |
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フラーレン | ビタミンCの172倍の抗酸化力を持つというデータもあり、活性酸素のほとんどを無害にする力を持つといわれています。ダイヤモンド同様、炭素原子のみからできており、サッカーボールのような形状をしています。もともと炭素は人間の体の中に存在する原子なので、安全性も非常に高いと言われ、フラーレンは活性酸素を吸着して肌の酸化を防ぎます。他の抗酸化成分が壊れやすくなる紫外線が強くなる時期でも、フラーレンは安定して壊れない上、一度摂取すると12時間以上効果が続くと言われています。持続力と安定性が魅力的の成分です。 |
ビタミンE (酢酸トコフェロール) |
脂溶性のビタミンで、主に代謝によって生成される活性酸素から細胞を守り、脂質に対する強い抗酸化作用を持っています。血管を拡張して血行を良くするため、肌のくすみの改善や老化防止作用が期待できます。ビタミンCと一緒に摂ると、効果的に抗酸化作用を補い合うことができます。 |
アスタキサンチン | βカロテンやリコピン同様カロテノイドの一種で、鮭やカニ、エビなどの赤色の色素です。エビやカニは茹でるとこの色素の色で赤くなります。活性酸素の中でも、特にシワの形成に関係しているといわれる一重項酸素に対する攻撃力が強く、強力な抗酸化作用を持っていることから、近年化粧品にも取り入れられて注目されています。 |
アントシアニン | ブルーベリーカシス、やナス、黒豆の皮などの赤、青、紫の色素として、自然界に広く存在します。ポリフェノールの一種で細胞を活性酸素から守る作用があります。また、コラーゲンの合成や安定化を促す働きもあると言われています。 |
ユビキノン (コエンザイムQ10) |
ビタミンQと呼ばれ、強い抗酸化作用を持ち、細胞膜を酸化から守ります。また、新陳代謝を向上し、心臓機能の改善、肌の老化を防止する成分として、近年ではサプリメントや化粧品などにも取り入れられています。 |
フランス海岸松樹皮 (ピクジェノールなど) |
フランス西海岸に生える松の樹皮に含まれる成分。非常に強い抗酸化作用を持ち、紫外線によるダメージから肌を守り、シミ・シワを予防すると言われています。コラーゲンの生成を助け、アトピーなどのアレルギー体質にも効果があると言われています。 |
ルテイン | カロテノイドのひとつで、ホウレンソウやケールなどの緑葉野菜に含まれている黄色の天然色素です。ヒトの体内器官や皮膚にも存在していますが、体内で自ら作り出すことができないため、食事や化粧品など、体の外から積極的に補給する必要があります。 |
食物に含まれている抗酸化作用のある成分を摂取することによって、身体の中からも活性酸素をできるだけ退治してしまいましょう。食品から直接摂ることもできますし、サプリメントで摂っても良いでしょう。
ビタミンC | 血液中などの水分の多い場所で活性酸素を捕捉し、無害化する強い抗酸化力を持ちます。レモン、いちごなどの果物、ピーマンやブロッコリーといった緑黄色野菜に多く含まれます。 |
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ビタミンE | 脂溶性のビタミンEは、若返りのビタミンとも呼ばれています。酸化されやすい不飽和脂肪酸でできている細胞膜に存在し、その酸化を防ぎます。ごま、うなぎ、ピーナッツなどに多く含まれています。 |
カロテノイド | βカロテン、リコピン、βクリプトキサンチンなどがあります。βカロテンはかぼちゃやにんじん、ほうれん草などに多く含まれています。リコピンはトマトに多く含まれます。βクリプトキサンチンはみかんの皮などに多く含まれる成分です。 |
亜鉛 | 細胞を酸化から守る作用があります。亜鉛の摂取が少ないと、皮膚炎や貧血、免疫機能の減少などが見られます。加工食品には亜鉛を体内から排出したり、吸収しにくくする食品添加物が含まれていることがあるので、注意が必要です。意識的に摂取するようにしましょう。 |
セレン | 強い抗酸化作用を持ち、過酸化脂質を分解する作用があります。魚介類、卵、小麦胚芽などに多く含まれています。 |
プロアントシアニジン | ブドウの種子に含まれる成分でポリフェノールの一種です。皮膚の成分であるコラーゲンやエラスチンと結合しやすく、活性酸素によるダメージを修復する働きがあります。赤ワインにたっぷり含まれています。 |
カテキン | 緑茶に多く含まれる成分でます。抗酸化作用の他に、抗アレルギー作用、抗菌などの効果もあると言われています。近年、特に脳内での活性酸素の発生を抑制する作用があるといわれています。 |
タバコの煙の中には活性酸素や有害物質が多く含まれます。動脈硬化やガンの原因となるので、間接喫煙にも注意しましょう。
アルコールを飲んだ後、肝臓が分解する時にも、活性酸素を生成します。酒量の多い人、お酒に弱い人は注意しましょう。
ウォーキングなどの軽めの運動は、抗酸化酵素の働きが活発になり、酸化が抑えられます。逆に、激しい運動は呼吸量が急増し、活性酸素を発生させてしまうので注意しましょう。
現代人はどうしてもストレスはつきものですが、過度のストレスは体内で活性酸素を増やしてしまう原因です。ストレスを除去しようとして、体内で副腎皮質ホルモンが分泌されますが、この分泌と分解の際に活性酸素が大量に発生します。また、活性酸素は抗酸化作用のあるビタミンCを大量に消費してしまい、疲労がたまるほど活性酸素を除去できなくなってしまいます。
紫外線に浴びると、肌の内部でも活性酸素が生成されてしまい、シミやシワができる原因となってしまいます。外出時は日焼け止めを塗り、帽子をかぶる、日光に長時間当たりすぎないなど注意しましょう。
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